回転してみる

どちらかと言えばスキー派である。スノボとスキーの話では無い。スケートかスキーかという話であるが。

とはいえ、スキーに自分の好き勝手で行けるような身分になったのは大学も後半の時分であって、小中学生の頃はもっぱらスケートであり、スキーなど数えるくらいしか行っていない。

この辺は新潟市を知っている人には”言わずもがな”なのだけれど、県外の人にはどうも通じにくい。
私が新潟で過ごした、と言うとスキー位できて当たり前だろう と、思うようだ。

残念。新潟市内でスキーはできない。さらに、かなり遠くに行かないとできない。と言うことがなかなか分かってもらえない。

根本的な問題は「雪の量」では無く、「山が無い」からだ、と言う辺りが難易度が高いらしい。
“今年は雪が多いから”出来る出来ないの話では無いのだ。どんなに暑くて海水浴が楽しくビキニがまぶしい季節だとしても、"海が無ければ海水浴は出来ない"のだ。それと同じなんだけれども。

でもスケートはやった。なにしろ新潟アイスリンクの隣に住んでいたのだから。けして好きでは無かったけど、笹口小学校では体育の授業の一環でアイスリンクに行って滑らされたのだから仕方がない。

スケートは初心者ははじめ「フィギア」から履く。「履く」のであって、けしてくるくる回ったりすることから学ぶわけではない。

ウィンタースポーツにあまり縁のない方はご存じないかもしれないが、スケート靴には大きく3つあって、「フィギア」「ホッケー」「スピード」があるのだ。アイスリンクで普通に貸し出しているスケート靴はフィギアである。違いは・・・面倒なので。ちょうどオリンピックもやっていることだしスケーターの足下を見て自分で分かってもらいたい。

当然、地元のガキはフィギアを小馬鹿にする。正確には「フィギアを履いてくるくる回らない初心者」に対してであり、リンクの中央付近でくるくる回っている女子に対してでは無いので念のため。

では何を履くのかと言えば、やんちゃ系の子は「ホッケー」であり、"スマートで出来がよさそう"な感じの子は「スピード」を履く場合が多かったように思う。気のせいかもしれないが。

新潟アイスリンクではホッケーも貸し出していたから、私もろくに滑れないくせに「単に馬鹿にされたくない」という理由だけでホッケーを借りていた。ちなみにスピードを履くような子は「マイシューズ」を持っていた。私はスピードは怖くて履けなかった。

さて。

先週「笑っていいとも」で誰だったか忘れたが「人間は何処まで回れるのかやってみた」というのをやっていた。床からジャンプして空中で何回転出来るか?というわけだ。

タモリとその誰かさんは4分の3回転しかできなかった。

それを見て、俺なら2回転くらいできるんちゃうか?と思ってしまった。根拠はない。でもできるような気が。

やってみた。日曜日、やっってみたよ俺。もちろん氷の上ででは無い。体育館でやった。床の上で出来ない者が氷上で出来るわけがないんだろうと普通思う。だから4回転とか出来る人は床の上なら5回転くらいできるんじゃないだろうか?であれば私でも3回転くらいできておかしくないのではないか?

ところが、一回転しかできないのだ。それも着地でよろけるのだ。氷上ならそのまま転倒だ。おかしい。どうやっても一回転以上回ってくれない。当たり前っちゃ当たり前なんだが。

選手達は有る程度スピードが出ている状態で大きくジャンプしているようだ。走りながらならもっと回れるのではないか?そう思った私は周りの制止(怪我するからやめとけ、と言っていたようだ)を振り切り果敢に3回転ジャンプに挑んだ。気分は4回転に挑むミキティだ。悔いを残してはいけない。

跳んだ瞬間「視界が真っ白」になった。それは本当に長い時間のように感じた。

なんの事はない。次の瞬間体中に激痛が走った。痛すぎる。どうやら跳んで回っている(と本人は思っている)状況のまま体が斜めになっており、しかも中途半端に回ったため平均感覚ゼロ。そのまま床に激突したらしい。

手首を有らぬ方向にひねったようだ。まだ痛いのだ。風呂に入って見てみたら膝と肘に青タンだ。悔いだけでなく痣があちこちに残った。

フィギアすげー。すげーよフィギア。なんで4回も回れるのだ。もう二度とフィギアを馬鹿にしない。