故あって酒をやめた。

 実を言えば、朝からビールを飲み、昼は昼食のお供にビールやらワインやらを飲み、帰りは帰りで道々日本酒パックをちゅうちゅう啜り、家に帰れば焼酎のお湯割を5-6杯飲むという生活を長年してきた。故合ってもクソも無く、どう考えてもアル中寸前だと思われ、ちょっとした良い機会もあって意を決して酒を辞めた。絶対手が震えるとかあるに違いないと思っていたが何事も無く、拍子抜け。

 食事のとき口寂しいのでノンアルコールビールを飲んでごまかしている。これがなかなかよろしい。なんだこれで良かったのか……という感じだ。考えてみれば、「辛いことを忘れたいため」とか、「憂さ晴らし」で飲んできたわけでは無い。私にとって酒は単に水分と栄養補給だった。第一夜以外は酔っ払ったことが無い。飲めば一応眠くはなるのだけども。単に飲む量を「普通」にすれば済むんじゃないか?という考えもあったが、私の場合、酒はあればあるだけ飲んでしまうから調節というものが効かないんである。断酒か飲むか、しか選択肢は無い。

 酒を止めてはじめての秋の夜長というやつで困っている。どうにもこうにも眠れないのだ。今も夜中にごそごそ起き出してこんなこと書いている。寝るきっかけというのがわからない。これはこれで禁断症状の一つなのだろうか。ようやく眠れたと思っても「夢見」が非常に悪い。なんとも嫌な夢で目覚めるのだ。例えば一昨日の夢。

 どういうわけか小林旭とカラオケをやっている。旭ったら、「シャボン玉飛んだ」を歌いだす。ところが歌手の癖に歌い出しのキーを1オクターブ上に間違えやがった。調子っぱずれでなさけない。「屋根まで飛んだ~」の所で声が裏っ返る旭。余りのくだらなさに私はうなされて目が覚めた。

 寝るのが怖い。