今朝の夢

 私は足に「コイル」が付いた靴を履いている。道がえらく混んでいるので、横の草むらに逸れて歩く。

 草の上には花見の場所取りのようにブルーシートやらが沢山敷いてあって、非常に歩きにくい。ちょっとでもシートの上に乗ろうものなら罵声が飛んできた。だからだんだん歩く場所が端っこの方に寄っていく。その先は崖になっている。

 崖っぷちを進んでいくとやがて高くそびえる岩の天辺に付いた。もう先には進めないなぁと思う。仕方ないので戻ろうとするのだがあまりに高いところまで来てしまったため足が竦んで動けない。下を見ると船越英一郎が後ろから「早まるんじゃない」と言ってきそうなくらいの「落ちたら死ぬよ」的風景が広がっている。高い波が「ざぷー」寄せてくる。でもみな知らん振りだ。

 どうにか戻るかしないといけない。そうだ、コイルだ。靴底にコイルが付いているってことは、これで飛ぶんだろうな。たぶん。試しに踏ん張ってみるが、縮んだ後の反発が全く無い。なんだこれは。なんのためのコイルだ。役立たず。えらい粗悪品を掴まされたものだと思う。途方にくれる。しばらくすると崖から数メートル先の道路から「早くこっちに来い」と呼ぶ声がする。見ると見たこと無いがどうも知り合いらしい人が笑っている。や、行きたいのはやまやまなのだが、こんな状態で、と苦笑いをする。そいつは「やれやれ」といった仕草をして行ってしまった。なんなんだあいつは。

 だんだん崖が細くなってきた。崖と言うより、木登りをして上まで行って降りられなくなった感じに近い。風が吹くと前後に揺れてめっちゃ恐ろしい。面倒くさいからもう飛び降りてしまおうかと思う。でもまて、やっぱここから落ちたら死む。やばいなぁ。唐突に、そうだ、目を覚ませばいいんだと思った途端目が覚めた。

 嫌な目覚めだった。なんなんだいったい。年をとると嫌な夢を見るようになるんだろうか。でもよくよく考えると「何がどう嫌」なのかもうまく説明つかない。