SPACE BATTLESHIP ヤマト

見ちゃった。

いいかな、ネタバレで。いいよね。もうそろそろ公開も終わるし。

はい。長いよ。言いたいこと山ほどあるからさ。

久々に、起伏の激しい映画を見ました。泣き笑い?吉本かよ!つー、人情喜劇にも通じる名作だった。やはりちゃんと見ないといけないね。正直言って、「巷で言われているほど、そう?、さほど悪かぁねぇじゃん」だ。俺的に。

ゲドちゃん記とかさ、デビルさんとかに比べたらさ、はるかにまともだ。

比べてはいけないって?

そうだよな。でもさ、日本沈没(リメイク)とか宇宙戦争(リメイク)よりも良いよ。まじで。

それこそ、キャノンボール2とか、ラビリンス(デビットボウイの)よりも100倍良い。各レビューを見ると皆さん怒っているようだが、このレベルならそこまで怒るほどのもんじゃないんじゃない。まぁちょっとは怒っていいけど。(なんだそりゃ)

さてね、会場、じゃなくてシアターに入る前に「どちらの席が良いですか?」と聞かれたが、「いえ、立ち見のほうがよく見えるの」by月影千草、てほど覚悟は無く、通路に近いところがいかなぁ、と思ってそう伝えたら、通路側のほうが埋まっていた。どゆこと?

既に公開終盤、前評判てのは恐ろしい。しょうがないんで後ろの方の端っこの席に(真ん中にしろ俺)。3割程度の中高年ばかりで席の埋まったミニシアターで開演を待つ私。予告編、「明日のじょ~」と「がんつ」がおもしろそげだなと思った。で本編が始まった。

およ?

いいじゃん、導入部。

ナレーションが多過ぎるのは時間の関係で仕方ないんだろうが、橋爪功さんは渋いし、流れとして全然イケルわいね。ワクワクするよ。地下都市の作りが「マトリックス」の廉価版なのはご愛嬌だが、「ターミネーター」の未来像と比べればどっこいどっこいだ。といきなり古代の上から飛行物体接近!古代の吹っ飛び方がいまいちカンフー映画!!あぁ……惜しい!。ここは冷静に見守りたいと思う俺。

ヤマト発信のシーンはTVアニメの再現に涙でスクリーンが見えない状況に。いいな、おい。いいぞ、そうだ。
そして、爆発の中からおもむろに顔を出すヤマト……のCGが「しょぼい」んだ_orz。

誠に残念だ。ここは「超望遠レンズに映る陽炎に霞むヤマト」にどうしてできなかったのか。サンダーバードかよ。ここはとってもこだわって欲しい所だった。涙と笑いの交錯、まさかこれがエンディングまで続くとはここでは知る由もない…というかちょっと不安になってしまった俺がいる。

で、いきなり「ワープ」である。数年前「物理的に否定された」感のあるワープ。これは仕方ない。ワープ無しにヤマトは成り立たないんだからここは空想世界に身をゆだねるべきだ。で、どないだ?ワープ?と思ったら
「ひどくこざっぱり」してる。
そう、らくらくワープ。ワープお手軽。TVアニメにあった「意味不明の恐竜シーン」はさすがに割愛。そうだよな。それでこそ21世紀の映画だ。あと、ワープ後波動砲が打てないのは原作に忠実。の割にはワープはすぐ出来すぎの感がある。てか案外ワープ得意?、あとあと響くこの付箋が気になる。

こざっぱりと言えば、船内のセット。昭和の思いが詰まった未来のオフィスって感じか。なにより「古代のデスク(あえて、デスクと呼ばせて)」の「キーボード」に注目したい。「デルのパソコンに買えば付いてくるやつ」的な質感に目頭が熱くなる。

そこかしこに挿入される沖田や古代の過去は泣かせる。ただこれで泣けるのは原作を知っているという前提が必須なんではないか?まぁ観客はおっさんばかりだからいいか別に。ただ人間ドラマも良いが、もっとあの感動的な戦闘シーンがもっと見たいのだが。

木星らへんで船員全員に一分間だけ地球と最後の交信の許可、というTVアニメに忠実なシーンが再現されるんだが、これは、どうなのか?今時イラクとだって通信タイムラグがあって面倒だろう?時差つうかさ、電波は光速らへんの速さだんべ?そこ、木星だよな。一分ておい、返事が来る前に終わるぞ(木星まで最短で35光分らへん。返事が来る前というか、先方に届かず…・・)。という非情なツッコミをしてはいけない。あくまで原作に忠実にだ。

当時はこれが不自然に感じ無かったのだ。遠くなると「音声がとぎれとぎれになる」というアナログ通信チックな描写もチラホラ出てくるのだが、これは「昭和の感覚」なんだ。許して欲しい、若者よ。タイムラブ、とか、突然途切れる、映像が止まる、0か1、有か無か、といった「デジタル世代」の今の通信形態に馴染んだ今の人に、このフィロソフィーが通じるのか不安だ。まぁいいか、観客はおっさんばかりだし(しつこい)。

このへんで、ガミラスの新しい設定が明らかになるのだが、これは良い。今風によくアレンジしたなと思いますよ。それこそ「ジャバ・ザ・ハット」みたいのがでて来て台無しかと思ってたら、良い方向に期待を裏切られた。ガミラス戦隊も「地球へ」の「ミュー船団」みたいで好みだよ。うん。これは本当によくやったと思う。

とか思ってたら
「イスカンダル、着きました~」

「え?もう?」

すみません、思わず暗闇で口に出してしまいました。ごめんなさい。聞いてはいたけど、それにしても近すぎませんかね?あれ?冥王星とか、銀河系突破とかいいの?いいのか(よくねーよ)。この際マゼラン星雲ていう前提替えても良かったんじゃ……これじゃ新潟から東京行くつもりが長岡らへんで「お客さん、終電だよ」とたたき起こされた気分だ。

で、ガミラスとイスカンダルが同じ種族の裏表という設定、これは原作に忠実でいながらの、アレンジ具合、見事だ。再びワクワクする。でガミラス星への地上戦へ。ちょっと「エイリアンズ」っぽいノリ。と思えば「ヤマト」が「ひゃっほ~~~」とばかり援護、島がハン・ソロに見えた。でガミラスの地上激突前にすかさずワープ!!。

…そりゃないよ。おい。どんだけ山場パクるねん。しかしワープ好きだな。孫悟空(DB)の戦闘シーンみたいだ。

ちょびっとがっくししながら見てると、ガミラスの兵隊大杉。クローン大戦並のコピペ軍団。こりゃどう見たって全滅だよ、と、おもいきや、いきなり、それまで「しゃべるiPhon」(もしくはドコモのCMの渡辺謙状態)だった「アナライザー」がR2D2(のマッチョ型)になって、光線銃でもって、巨神兵の如くガミラスの兵隊を「なぎはらう!」。
いや、いんだけどさ、こんげ強いんだったら、このiPhonもどき 10個くらい持ってきてたら楽勝だったんじゃ?というツッコミは大人がすべきことでは無いのか?どうなの??

アナライザー大量生産でガミラスに勝てたんじゃ……

かわいそうなアナライザーはひとり置いてけぼりにして、古代と雪と真田と齊藤は進む。それまでの追撃が嘘のように静まり返ったガミラスの大地。なぜにここまで安全なんだ。本当に強いなアナライザー。意味分からんまま気がつけば「スターシア」の前に。この辺りの下りはなかなかイケてるんじゃないか。放射能除去装置というか、雪にその性能が宿る、ってのは無理があるとかどうかは好みの問題だし。イタコっぽいけど。これは結構面白いと思う。ただ、この後のシナリオ次第なのは言うまでもない。

さて、放射能除去関係は手に入れた、さっさと帰ろう、ってとこで、真田と齊藤のあの「壮絶な殉職シーン」が出てくる。これはどっちだっけ?TVアニメでは真田は最後まで生きてたよなぁ。「さらば」でのシーンとして有名なんだっけ?。でも、実はTVシリーズの頃出たTVシリーズの「ノベライズ版(本)」で真田の殉職シーンは既にあったような記憶がある(違うかもしんない)。西崎さん作と銘打たれたその本のストーリーに今回の映画は近いような気がする。(その本ではTVアニメと逆に穴だらけの星がイスカンダルで、きれいな星の方がガミラスという設定だった)

そんげ話はともかく、真田と齊藤のシーンはやはりスクリーンが霞む。なにもここまで迫真の演技をせずとも・・・と思うほどえらいシーンに仕上がっとる。ほんと、これが映画でなくてダイジェスト版だったらどんなに良かったか(?)。

ともかくいろいろあってな、ヤマトは地球に帰っていくわけだが、ものの数分もしないうちにいきなし「最後のワープ」で
「地球が見える~」
のだ。

えぇぇぇ?もう?

二度目だ。

近い。

ほんっとに地球は近かった。けしてジャーニーでは無い。ぷちトリップ。「ちょっと新潟に買い物行ってくる」と言い放った親父が既に新潟市民であることを忘れている元亀田市民のような感じだ。例えが難解すぎるかもしれないと言って、一体誰を責められるのか。何言ってんだ俺。ちくしょう。

しかも最後のワープで雲の中から飛び出してきた「ヤマトの主砲に詰め物が!」
この詰め物、ずいぶん前にガミラスの攻撃によって波動砲封じのためにやられたもんなんだが、なんでここまでほったらかし?。主砲無しでここまで旅をしてきたのか。うかつだ。うかつすぎる、と思ったら、思ったとおり地球とヤマトの間をガミラスが「通せんぼ」!!!でいきなし砲撃!。のんきに地球を眺めていたクルーは右往左往。

こ こ で 「なんでワープしない!」

と誰もが思うこのシーン、あれだけ矢継ぎ早にワープしてきた、その付箋貼りすぎの感があったにもかかわらず、ここではヤマトはワープは「し・な・い」
なんで?

もたもたしてる間に西田敏行は少しも美味しい出番無しに殉職。これほどの名優をこの扱い、只者ではない。もはや風前の灯火のヤマト。

この後はまぁ、「さらば」的ラストに向けて一直線なのは想像に難くないであろう。

古代の独壇場だ。この切迫した状況からが「長い」。なんでここまで端折っていながら、ここが長いのかってくらい、長尺。しかも

「古代君のいない世界なんて生きる意味がない」と自分が「放射能除去女」である立場もわきまえず駄々をこねる雪。空気嫁!。

台無しだ。ここにきてそれか。残念だ。

古代のみの特攻というラストで迎えたエンドロール、雪に「ママ」と駆け寄るバタ臭いガキ。誰の子だお前?( ゚д゚ )あれ?チューだけじゃなかったんかい!古代!ちゃんとやることやってたんか。orz

いや、その押し付けがましいバタ臭さは齊藤(池波博之)あたりか。やるな雪……てかこのエンドロールは意味不明。もうちょっとちゃんと付箋引け。

ふ。(-_-;) 

終わたわ。うん。みなさん様々な思いと感動で席を立てない状態が続く。ほんとなんて言ったらいいんだこの感覚。

残念だ。

というか、この映画、あれこれ言われているが、問題は

「尺が足りない」

これに尽きるんだ。考えて見れば当たり前なんだ。誰がヤッたって誰が作ったって、この尺には無理がある。どうして三部作にしなかったんだろう。

一作目は冥王星基地突破、遊星爆弾阻止、ガミラスの正体はこんげ感じ!ってあたりまでで十分だろう。今回の映画では端折りすぎて、「なんで「ヤマトなの?」って点が全く語られていない。戦艦大和がどういう船なのか?ってのが無しにして話を進めてしまっては誰がなんと言おうと「予定調和」前提の世界にしかならない。題名を英語にしたって意味ないでしょう。TVアニメではちゃんとしっかり「(大戦時の)ヤマト出撃」のシーンがモノクロで描かれていたじゃないか。あれを抜いてしまって外国の人に何をアピールしたいのか。

二作目でようやくイスカンダル、と思ったらガミラスだったぁ、どっしょば!、てなあたりで終劇!。今回の映画で物足りないのが戦闘シーンだ。沖田さん引退早すぎだ。もっと沖田戦法を古代に魅せてから指揮権を譲らなきゃ。そのへんたっぷり見せて欲しい。

三作目でようやく放射能除去装置(あるいは除去女でもいい)をゲット、かつてTVシリーズで視聴率の関係でカットされちゃったガミラスのねちっこい追撃のシーンをしっかりつくり直して欲しい。ラストは特攻パターンでもハリウッド型ハピーエンドでもいいよ。こういった余裕のある作りをして欲しかった。さすれば、新しい世代に新たなヤマトファンというのが生まれる可能性もあったんではないか。これじゃどっちも手放してしまう。もう、今回のはこれはこれで、無かった事にして、もう一回つくり直して欲しいよ。こんなに俳優有名所揃えなくてもいいだろう。スターウォーズなんてギネスおじさま以外は芋と被り物ばっかだったじゃないか(ハリソン・フォードが売れたのはこの後だ)。スター集めて映画作るのもいいけど、映画からスター出そうって気はまるでないのね。そういう気概ってもんに関してはデビルさんの方が素っ頓狂に上だった。斜め上過ぎたが……。

いや、映画って本当に難しいもんですね。

ひとつだけ言える。黒木メイサは良い。知ってたけど。