観劇

娘が課外授業で観劇に出かけたそうだ。
「何を観た」と聞いたら、「マンマ・ミーア」だそうである。私らの時分は「歌舞伎」か「狂言」とかと相場が決まっていたのだがなぁ。嫁にも聞いたが、やっぱ歌舞伎見物だったそうだ。今時の観劇はそんげもんを観してくれるのか。ほー。どんげがんらてばと思った方はこちら。まぁミュージカルっちゅうやつだな。まぁ歌舞伎も和製ミュージカルみたいなもんか。や、違うな。

しかしマンマ・ミーアじゃたとえ興味なくても眠れそうにないな(寝るなや!)。実際飽きてしまった男子がうるさかったそうだ。一方四季のファンの皆様のハイテンションとお約束について行けず、呆然としたまま舞台が終わってしまったらしい。やっぱある程度予備知識が無いとこういうがんは難しいのだろう。

俺も確か高校生の頃「狂言」と小沢昭一さんの一人舞台を観に行った(というか行かされたわけだが)と記憶している。当時、というか今も狂言には興味が無てないのが残念でしかたないのだが(?)、モノの数分で爆睡してしまった。もうしわけない。

ただ、狂言の方はなんとも言えない(見てねーんだからしゃーない)が、第二部の小澤さんの舞台は面白かった。何しろ昔の話なもんで詳細は覚えていないが、確か女郎が愛人のため指を切り落として渡すだの渡さんだの、指の偽物をたんと作ってるだのいう話で、女郎、遊女の岡惚れというかマジぼれってのの段階に「誓紙」「髪切り」「入れ墨」「爪剥ぎ」「指きり」「情死」というのがあるそうなんだが、その「指切り」の話だった。

これが存外に面白くて、落語みたいに笑える話でもないのに、古臭くて今では全く共感を得られない人々の話なのに、よくもまぁこんなこうも面白く話すものだ、と当時お馬鹿なりに感心した。が、考えてみたら、かの「小沢昭一」さんの舞台だものな、面白いのはあたりまえだよ。田舎の何の予備知識もなくドナドナで連れてこられた、隙あらば全力で寝る体勢全開のアホな高校生を前にしてですよ、女郎の指切りの話ですよ、それを面白いと思わせ、且つ一度観たきりの野郎に30年経っても思い出させるんだから、名人の芸というのはつくづくすごいと、思う。