自転車の右側通行

まだ数年ばかりではあるが、自転車が主な移動手段という生活を送ってきて、どうしても我慢できないことがある。

自転車の右側通行だ。

ここんとこチャリは車道を走るよう交通法規が動いているらしい。私が子供の頃は自転車は歩道を走ってはいけなかったのだけど、当時ちゃんとした歩道というもの自体少なかったんだよね。とてもじゃないけどチャリが走って快適な歩道なんてなかったから当たり前っちゃぁ当たり前だったんだ。

今みたいに段差になっててガードレールに守られた歩道なんて栄えた街の中心地にしかなくて、たいていは道に白線がひいてあるだけ。歩道っぽい部分があったとしても、ガードレールと電信柱で狭かったり、いちいち段差が大きかったり、ちょっとうっかりすると穴だらけのドブ板につっこむ。エンゾに落ちる。車道の方がまだマシだった。

小学校で自転車の運転教習が頻繁にあったし、各自治体があっちゃこっちゃに「交通公園」を作ったのもこの頃だ。ああいった擬似交通スケールでの交通学習ってのは今あまりやってないんじゃないか?新潟交通公園の今の廃れ具合を見てみりゃわかる。多分昭和30年代~昭和40年初期の生まれの人なら分かると思う。着衣水泳とか昔無かったのを子供がやっているのを見て、進歩したなと思うことはあるけど、そのかわりチャリの学習が無くなってんだったらどっちが大事かよく考えろと言いたい。

とはいっても、私も中高校生時分にはチャリで右側通行がそんなに悪いこととは思っていなかったかもしれない。広い道だと左車線に回るのがめんどうだからね。たしかに。なんとなく、習ったからね、決まりとしては一応左通行しなきゃいけねーんだろうな、程度の気分だったと思う。人が右側通行とか、誰も守ってねーし(実際人が右側通行ってなんか根拠あるんか?)

そういう考えが改まったのは、やはり、単車に乗ってからだ。単車に乗って、ルール以前に「車道の右側を走る事」がどんだけ自殺行為かというのを肌で覚えたからだと思う。もうしわけないけど単車乗りから見ると、チャリが一番、もう、ど~しようもなくうざいのだ。

なんで夜の幹線道路の右側をライトも付けず走るのか?ここまで行くと「死にたいんだね、そうだね」としか思えない。チャリというのはたとえ実用車だとしてもせいぜい 25kg 程度の重さだ。一方単車は 250cc ~ 400cc でなんだかんだ言って 250kg くらいはゆうにある。その差 10 倍。勝ち負けで言えば惨敗。ちゃりなんぞひとたまりもない。チャリはグッチョンストトンの鉄くずになるが、単車の方はせいぜいカウルにど偉い傷が付く程度だぞ(人の重さは考慮しない場合)。

まぁ相手が単車ならまだましかも知れない。例えば交差点。

車とか単車含め、トラックも、脇道から幹線に出る時、大抵「右から見る」ものだ。それが見に付いている。だって「日本は左側通行だから」だ。これが訳分からないって人は、自転車乗る前にまず車とかの「免許」取れ。

で、右がクリアだったら次いで左を見て、左方向からも何も来ないを確かめてから初めて進むのが正しい運転だけど、すべてのドライバーがそうだとは限らないのだ。右見てクリア、でその時点でもう半分進んでいたりする。進みながら左を確認して一気に加速したりする。ひどいのになると右を見ながらもじわじわ進んでる。そんなんは結構当たり前だわな。

右がクリアだったら我進む左車線をこっちに向かってくる馬鹿は居ないだろう。多くのドライバーはそう(半分位)信じてる。こっちに向かう車はあっちの車線を走っているはずなんだからね。(よく分からない人はひつっこいようだが一度車の免許とって公道に出るべし)

で、ここへ右側車線(あくまで自転車にとっての右側)をゆうゆうと走ってくるアホがいたとする。車高が低い車なら、慌ててブレーキをかけるだろう。夜無灯火だったらぶつかるまで気が付かないかもしれないが、ぶつかったら気づいてくれるだろう。ではこれが大型トラックだったらどうか。かなり近づいていたら死角に入ってしまい、もしかしたらぶつかっても気が付かないかもしれない。なにしろトラックの質量たるや、チャリの比較にならん。単車のヘルメットに虫がぶつかったようなもんだ。歩道によくある「立て看板」でも引っ掛けたかな?程度の衝撃だろう。深夜ならなおさら。運ちゃんは忙しいんだよ。そのまま放置プレイな。

で死体を検分したら、右側通行、無灯火の上スマホ片手だったとかでは文句の言いようが無いだろう?だから「死にたかったんだよね、そうだね」としか思えないんだよ。こんなのを引っ掛けてしまったトラックの運ちゃんも可哀想だ。業務上過失致死で、反省しろって言われてもさ、どこをどう反省すればいいのか。もし俺なら、心から反省できるのだろうか。不安だ。それで「反省の色がない」とか言われたら国会にトラック突っ込んでやりたい。

きちんと、車線の右側を走るのは「犯罪である」と教育して来なかった国家に責任があるだろうが。

  • チャリ歩道走行「可」にし
  • 交通教育をおざなりにし
  • 単車を「3ない運動」とやらで悪者にし若者、馬鹿者の最後の交通ルールを叩きこむチャンスを棒に振り
  • 最低限の交通ルールのモラルを棚にあげてきた

その挙句、チャリが歩道通行オケーにしたら今度は歩行者が危険だってことに今更気づいたわけである。これでは「マズイ」と進路変更するなら、「自転車は車道を」とか急ぎすぎ。先に交通教育なり、広報なりしてからでないと、かえって危ない。交通ルールを知らない、何も免許を持っていない人はチャリで車道に出てはいけないに決まってるだろう?だってナーンにも教わって無いんだもん。いくら車の方が正しかったって、被害者のほうが「何が悪かったのかわかっていない」んだよ?馬鹿みたいだよ。一度も免許を取得したことが無い人というのは交通社会に置いては子供同然なんだから車道に放しちゃ危険極まりないだろうが。真面目にルール守っている人が被害をうけるだけだ。

まず子供から教育し、それが浸透する15年位先にチャリは歩道走行禁止、とするくらいのビジョンがなければ、今後不幸な事故が増えるばかりだ。コルホーズとか御成敗式目とか乙巳の乱とか小野妹子がなんで「いもこ」と読むんだとか、とりあえず街を歩いている上ではかなりのレベルでどーでもいい知識を覚える前に「街に出て死なない程度」の知識を先に覚えさせる事が出来ない今の教育ってなんなんだ。

取り急ぎ、警察さんはさ、今回の「自転車は車道」って路線を進めたいんだったら、それはそれで大歓迎なんだから、ちゃんと根回しなくちゃ。まず文科省に「交通教育」、今後の子供の為に学校教育のプログラムの一貫としてもっともっと交通教育を取り入れるようお願いしたい。次いで、道。自転車がこの車道のどこを走れってんだこのアホって道が多すぎる。違法駐車も多い。先にこっちをどうにかして欲しい。

その上で、自転車は車道、ただし、右側走ったら即罰金刑にすべし。